【クイズ】星は永遠か? 星の年齢と地球史の年代を比較してみよう
星は永遠か?
MONGOL800の『小さな恋のうた』で「あなたと過ごしたとき永遠の星となる」と歌われています。このように星は何かと「永遠」の象徴として使われますが星って永遠なんですかね。次の問題を考えてみてください。
問題
オリオン座の一等星リゲルが誕生したのは次のうちのいつごろでしょうか? もっとも適切なものを選んでください。
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答え:4
リゲルが誕生したのは800万±100万年前だとされています1。では次に各選択肢を検討しましょう。
- 地球が誕生したのは46億年前です。
- カンブリア紀の大爆発が起きたのは5億4200万年前ごろです。古生代が始まる前、海の中にはクラゲのような柔らかい生物しか生息していませんでしたが古生代初めの5億4200万年前ごろに硬組織をもった多様な生物群が出現しました。この爆発的な多様化をカンブリア紀の大爆発といいます。
- 恐竜が絶滅したのは6600万年前です。恐竜をはじめとする様々の生物の大絶滅により中生代が終わり新生代が始まりました。
- 人類がチンパンジーとの共通祖先と分岐したのは700万年前とされています。
- ホモ・サピエンスが誕生したのは20万年前とされています。
従って正解は4ということになります。
恐竜が絶滅してネズミみたいな哺乳類が地面を走り回っていたころにはリゲルは夜空に輝いていなかったんですね。地球の歴史を1年にしてみましょう。すると人類がチンパンジーの共通祖先と分かれたもリゲルが誕生したのもどちらも12月31日の出来事です。案外リゲルの年齢はたいしたことないですね。同時に案外地球は宇宙の中で由緒正しい存在なのかもしれませんね。なんせ地球の46億年の歴史は宇宙138億年の歴史の3分の1に相当しますから。
だからリゲルを眺めてその輝きに永遠を感じるよりもこの諍いだらけの地球のほうに永遠を感じる方がよっぽど筋が通っています。存在し続けている時間の長さという観点だけで比べたら。
ひとつ注意していただきたいのはリゲルは年齢が若い恒星の部類に入るということです。私たちが見る夜空の星の中には数十億年と輝き続きているものあるので安心して星に永遠を感じることができます。たとえばおうし座のアルデバランの年齢は66億±24億年です2。
また別の意味でも恒星に永遠を感じることは妥当です。というのも、恒星はその一生を終えると自身の構成物質を周囲にまき散らし、まき散らされた星間物質が再び集まることで新しい恒星がこの宇宙に生を受けます。そして新しく生まれた恒星はその祖先と同じように核融合を行い光を放ちます。この延々と続くであろう営み自体は永遠とみなしてもいいのかもしれません。私たちが肉眼で観察するかぎり恒星がやっていることは光を放つことだけです。この光を放つという営みは星々がそのバトンを次々と受け渡しながら続けられてきました。それに比べて地球は私たちの生活の場でありそこで起きることは事細かに私たちによって観察されます。地球を事細かに見たらあまりにも目まぐるしく変わるその姿に永遠を感じることは難しいですね。
結局のところ、恒星は輪廻を繰り返し光り続けているので私たちが星を永遠の象徴とするのはまったくもって妥当です。
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Przybilla, N., Butler, K., Becker, S. R., & Kudritzki, R. P. (2006). Quantitative spectroscopy of BA-type supergiants. Astronomy & Astrophysics, 445(3), 1099-1126.↩
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Hatzes, A. P., Cochran, W. D., Endl, M., Guenther, E. W., MacQueen, P., Hartmann, M., … & Yang, S. (2015). Long-lived, long-period radial velocity variations in Aldebaran: A planetary companion and stellar activity. Astronomy & Astrophysics, 580, A31.↩