美しき世界、代わり映えのしない日常

都内医学部在学中の21歳。考えたことや勉強したことを書いたり面白かったコンテンツを紹介したり。

ベストセラー『FACTFULNESS』の著者が運営する統計サイト「Gapminder」で遊ぶ

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ベストセラー『FACTFULNESS』とは

『FACTFULNESS』は世界の実情をデータに基づいて正しく理解するための方法を私たちに教えてくれる啓蒙書です。最近よく売れているそうです。この本の中で筆者の一人が運営しているサイト「Gapminder」が紹介されていました。今回はこのGapminderを覗いてみます。

Gapminderを覗いてみる

Gapminderでは各種の統計データを簡単に可視化することができます。UIが直感的でサイトのデザインが美しい点が素晴らしいです。以下で可視化のためのツールをいくつか紹介します。

バブルチャート

Gapminderのバブルチャートのページでは自由にx軸とy軸とz軸(バブルの大きさ)のデータを決めて国ごとのグラフチャートを表示させることができます。たとえば次のグラフはx軸を1人あたりのGDPに、y軸を平均寿命に、バブルの大きさを人口にしたバブルチャートです。このグラフからは世界は先進国と途上国に分断されているわけでは決してなく大部分の国が中間的な経済・健康状況にあることが読み取れます。これは『FACTFULNESS』で力説されていたことでした。バブルチャートのページでは各国のバブルがどのように推移していくのかを見ることもできます。

このバブルチャートのページには他にもたくさんの機能があります。詳しい使い方は下の動画が参考になります。

How to use Gapminder Bubbles from Gapminder on Vimeo.

収入別の人口の推移の日中比較

Gapminderのサイトの中に収入別の人口(the number of people by income)を表示してくれるページがあります。このページで日本と中国の収入別の人口の推移を調べたところ非常に興味深いトレンドがあったので紹介します。

1868年

1800年から1900年ごろまでは世界人口の大部分が収入レベルはLEVEL 1に属していました。この頃はみんな貧しかったということになります。日本と中国の分布を比較すると両者はほとんど同じです。

1975年

1900年代から世界人口の一部が急速に豊かになり、1950年ごろからグラフに2つのピークが存在するようになりました。1975年のグラフを見ると日本人の大部分は豊かなほうのピークに属し中国人の大部分は貧しいほうのピークに属しています。こんなにきれいに分かれるのかと驚くぐらい世界は分断されていたことになります。

2019年

しかし1980年代以降、貧しいほうのピークはだんだんと高収入側に移動し2000年代に入るとピークは一つにまとまります。2019年のグラフにおいて日本人の分布と中国人の分布を比較すると、中国人の分布の方が低収入側に伸びているとはいえ高収入側を比べると両者はよくオーバーラップしていると分かります。

Gapminderの応用法

Gapminderの教育的効果は非常に高いと予想します。学校の社会科の授業でGapminderを使うと面白いことができそうだと感じました。たとえば生徒・学生の一人一人にGapminderの可視化ツールを使って複数のデータの間に何か面白い関係性を見つけてもらいそれをクラスで共有するという課題を出すとします。すると、各生徒・学生はクラスの人数分の面白い統計的事実に触れることになり世界の実情をよりよく理解できるようになると考えられます。

統計データを入手すること自体は簡単でもそのトレンドを分かるようデータを処理するのには手間がかかります。したがって、Gapminderはブラウザ上でたくさんのデータを簡単に分析できるようにしている点で非常に画期的です。Gapminderが様々な教育の場面で活用されることを願って筆を擱きます。